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記念すべき第1回は、現在、宮城県仙台市を拠点とする株式会社アフターリクルーティングの代表取締役社長を務めていらっしゃる、池谷昌之さんにインタビューをさせていただいた。現在の社長としての仕事内容などはもちろん、独立する前に勤めていた大手企業リクルート時代のお話やワークライフバランスについて、さらには年収……!?についてまでお話ししていただいた。
Interviewee:池谷昌之
Profile
1968年生まれ。静岡県長泉町出身。
• 東北大学農学部卒
• 1991年 株式会社リクルート入社
• 仙台―東京―静岡―浜松―仙台―札幌―仙台と異動
リクルートの採用担当、企業への教育研修の企画提案、企業の採用戦略の立案、大学生の就職支援
リクルート営業時代は、半年で2億を売り上げ、全国通期MVPを獲得
浜松支社長時代、全国通期最優秀マネジャーとして表彰を受ける
• 2013年 4月 株式会社アフターリクルーティング設立
• 社外人事マネジャー
東北大学大学院経済学研究科 特任教授(客員)
―――まず、池谷さんが現在どんなお仕事をされているか具体的にお聞きしたいです。あまり社外人事マネージャーという仕事は聞き馴染みないので……。
池谷:そうだね、一言でいうと社外人事マネージャーというのだけどよくわかりづらいよね。具体的には、企業の採用活動とか人材の戦力化・育成とか評価の仕組み、社内のモチベーションアップの仕組みとかを企業と一緒に考える立場の人かな。
―――アドバイザー的な?
池谷:そうだね。ただアドバイザーというと言いっぱなしになるけど、はたかもそこの社員かのように一緒になって考える人かな。具体的には、一緒に研修やディスカッションをやったり、会社の中に入ってここに社員の自己紹介の張り紙を貼ればもっと社内での交流が深まるんじゃないかとかをアドバイスしたりとか。そんな感じの仕事です。
――ーなるほど。では、そんな池谷さんの社外人事マネージャーという仕事だからこそ難しいなと感じることとはありますか?
池谷:んーーー。こういう仕事をやっているとよく「池谷さんみたいな仕事したい」って言ってくれる人がいるんだけど、それは難しいんだよね。
なぜかというと、結局コンサル業に近いのかな、この仕事は。そうすると2つ大事で、自分から売り込んで仕事をとるっていうのが上手くいかないんだよね。仕事くださいよって言いて仕事取りにいくと上手くいかない。仕事をもらう側と仕事を発注する側、対等でなければ何か言いたいことが言えないんだよね。「自分の仕事なくなってもいいよ」ってくらいのスタンスでないと何かご指摘ができない。特に厳しいこととかは。でもその方が上手くいく。だから、コンサルタントみたいな仕事って、上手くいってる人はすげえ上手くいってるし、上手くいかない人は全然上手くいってない。その理由は簡単、上手く言ってない人は、仕事が欲しいから。だからしっかりと本質を言えない。
―――確かに、そこのバランスは難しいですね。では少し話は変わるのですが、池谷さんのスケジュールを、独立前に大手企業リクルートで働かれていた時代も含め、聞きたいです。
池谷:リクルート時代はとにかく忙しかったな。子供は3人いるんだけど、リクルート時代22年間で妻と家族5人で平日に食事をしたのは多分片手で足りるな笑。当時は19時半になんてまず帰れなかった。まあ普通は22時。東京時代は終電で帰ってたな。
その代わりサラリーマンの時は、結構土日は休めてたから、平日は子供の顔を見ることはなかったくらいだったけど、土日休日は家族と過ごそうと決めてたな。平日仕事100、休日家族100って感じ。だから子供にとっては、俺は土日だけに存在する人だったんだよね笑。
でも独立した今はどうかっていうと、仕事と休みの区別がなくなってて、オールライフって感じ。今はすごく頼られて仕事がくるのが嬉しくて、日曜日とかでも全然入れちゃう。
俺の座右の銘は「人生の名助演男優賞」。他人が主役の物語に登場してその主役を盛り上げる。それが俺の生きたい生き方なんで、関わった人に池谷さんと仕事して良かったって言ってもらったすごく嬉しいね。独立してからそれをさらに強く感じるようになった。そんな感じで、自分の人生を充実させていこうとすればするほど、今は休みとかっていう概念がなくなってきている気がするな。サラリーマン時代は土日なんて絶対働くものかって思ってたんだけど、これは独立してから感じるようになったことかもしれない。
―――なるほど。そういったことはサラリーマンと独立、両方を経験したからこそわかることなのですごく貴重なお話に感じました。
では、独立関連の話になるのですが、リクルートという、割と将来の安定も約束されている大手企業で働いていながら、わざわざ会社を辞めて独立するという道を選択した理由はなにかありますか?
池谷:んーーー、そうだね。俺も人事をやっていたから分かるんだけど、当時のリクルートの人事って、リクルートをビジネス養成学校と捉えている人たちを求めていたんだよね。当時はリクルートにずっと居たいっていう人は皆無だった。今は分からないけどね。だからリクルートを辞める時は「卒業おめでとう」だった。「次何するの?」みたいな。という価値観だったので、そもそも22年間も居ちゃったって感じ笑。
ただ、もともとあまり辞めようとは思っていなかったんだけど、3つ辞める動機付けとなった大きなことがあったな。
1つは、当時リクルートが上場準備に入っていたこともあって、各事業のドメインをかなり明確にしていて。俺は明確化されたり細分化されていってたのがすごく窮屈だったんだよね。
2つ目は、上場準備に入ったんで、利益を絶対にあげなきゃいけない。で、ローカル拠点だと、人件費の高い当時の俺のような40代は利益を考えると置いておけない。だから上司にそれを言われ、東京に来いと伝えられた時、売り上げも出していたし会社のために貢献しているつもりだったのに「あ、俺実は会社にとってお荷物だったんだ」って感じてしまって。
3つ目は、自分の年齢も40代に入って、辞めようと思っていなかったんだけどそういうオーラがあって、そんななかで、他の会社の経営者から「池谷さん採用するほどのことじゃないんだけど、うちのことよかったら独占的に手伝ってもらえたらいいんだけどな」みたいなことをたまたま3社くらいに言われて。そのときに、あ、じゃあ自分も3分の1社員みたいな形でシェアしてもらえばいいんじゃないかと思って。でそれがきっかけで独立したんだよね。結果的には3社そういうこと言って1社しか仕事くれなかったけどね笑。
―――それは大変でしたね笑。でも独立した理由がよく分かりました。
次に、将来について悩んでいる学生に向けて、何か伝えたいこととかありますか?
池谷:そうだねえ。一番思うのは悩んでる時間がもったいないと思うんだよね。だって悩んでる人ってだいたい自分が明日死ぬって思ってないじゃん。人生無限かのように思ってる。人生有限なので楽しく生きた方がいいんだよ。
だけど、学生までに経験した楽しいっていう感情と社会人になってから経験した楽しいっていう感情はちょっと質が違うと思うんだよね。人とワイワイ酒飲んで楽しいとかゲームやって楽しいとか、それとは少し違って。頼られて必要とされて感謝されて楽しい。そういう貢献感みたいな感情を得られるような生き方をして欲しいなと思います。
悩んでる人ってだいたい自分のことで悩んでるんだけど、人に感謝されたり必要とされてることを実感できたら、多分悩みなんて吹っ飛ぶと思うよ。だいたい悩んでる時って主語が自分の時が多いから。あと人に頼られている人の近くにいた方がいい。だから、一番直接的な悩んでいる人へのメッセージは、多くの大人の話を聴くことじゃないかな。
だいたい多くの学生はやってみてもないことに悩んでる。仕事なんてやってみなきゃ分かんないのに、あれは大変そうだなとか。大変かどうかはやってみなきゃ分かんない。心配の先回りをしてもあまり意味はない。
―――確かに僕も心配の先回りっていうのは思い当たるところがありました。
ちょっとここからはくだけた話になるのですが、趣味とかリラックス方法などはありますか?
池谷:趣味は、まあせっかく今独立したので、家族と決めてるのは年に一回どっかに旅行行きたいねと。割と長期の。あとは、親父の会ってのがあって。俺が一番年下なんだけど(笑)。おっさんたちで温泉行ったり、旅行先の食材を買ってバーベキューしたりとか。年2回そういうことをしてたりするかな。まあコロナでいけてないんだけど。
―――では、突然なんですが、今日のランチの値段とかは教えていただけますか?笑
池谷:今日はねえ。えーと、ハンバーグランチ900円。
―――普段からそういう感じの食事をされてるんですか?
池谷:そうだね。でも1週間に1・2回は食う暇がないかもしんない。昨日の夜は焼肉キングだったな。家族とよく行くのよ。
―――いきなり言いづらいのですが、我々の興味としては池谷さんのような働き方をされている方の年収ってすごく気になるんですけど…笑。例えば、何が買えるくらいとかっていう感じで教えていただけますか?(笑)
池谷:そうだなあ(笑)。まあ今俺プリウスαっていう車に乗ってんだけど、それくらいだったら別にローンとかは考えずに買える感じかなあ。まあこれはコンサルタントの人はみんなそうだってわけではなくて、俺もリクルートの時のある程度の貯蓄もあったので。だから蓄えもあったってのもあって、いろんなものがそんなに値段気にせずに買える感じ笑。
―――いい感じですね(笑)。すごいイメージできました(笑)。
池谷:よかった笑。まあでも、かみさんがほんとにやりくり上手だったと思うんだけど、子供3人いてもう生まれた瞬間から高校三年生までの積み立てをもうやってたんだよね。他にも冠婚葬祭貯金なんてのもしてて。俺がマネージャーの時は年に7回結婚式があってすごい出費かさなってたんだけど、それようにちゃんと貯金してたりとか。
―――すごい計画的だ!僕らも見習いたいです。
最後に、今までの人生に後悔はありますか?
池谷:後悔とかは1mmもないね。すべてが今につながっているからね。大変な時もあったし。でも大変な時があったから今もあるし。
でもやっぱりスティーブ・ジョブズも言ってたけど、点と点はずっと後で結びつくんだけど、先回りして今このためにこの経験してるんだなって考えることってすごく難しいんだよね。この今やっている経験は絶対10年後役に立つって思うことって難しい、いや無理なんじゃないかな。でも10年後振り返ると、10年前の経験が今役立ってるって分かる。
だから、こっから言えることって何かというと、今目の前のことを一生懸命やってる人が幸せになれる。そう、今目の前のことを手抜いてると、今の結果が未来だもんね。そういう未来になるよねきっと。
―――なるほど。お話を聞いて、先のことを憂うばかりではなく、もっと今のことについて考え、行動していくべきだと痛感しました。未来にいいようにつながることを今行動していきたいです。
池谷さんの社外人事マネージャーというお仕事だからこそ見えてくる視点などもあり、貴重なお話をお聞きできました。お忙しい中、本日は本当にありがとうございました。
2021.3.1
Interviewer:市岡大典、別處史明
Writter:別處史明
市岡大典
別處史明
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