第3回(株)かえる不動産取締役 齋藤尚子

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 第3回は、かえる不動産(株)代表取締役を務めていらっしゃる齋藤尚子さん。キッチンカウンターも併設しているおしゃれで洗練された本社オフィスに招いていただきインタビューが行われた。現在の仕事についてはもちろん、今後の展望や女性が働くことについてなど、様々なことをお話ししていただいた。


ーーーまず、齋藤さんの生い立ちについてお聞かせください。


齋藤:はい。わたしは宮城県の柴田町の出身です。今36歳で、高校卒業後、専門学校に通いました。子供の時から保育士かお菓子を作る人になりたいと思ってました。高校は女子校だったので保育士になりたい人がすごくたくさんいたんですけど、みんなとは違う仕事がしたいっていうのがあったり競争率が激しいのはちょっと...と思たりして(笑)。あと、姉の紹介で高校生の時にケーキ屋さんのバイトをしてて、作るって楽しいなって感じて。それで調理師のの専門学校に行きました。

 それから、専門学校を卒業して、イタリアンレストランで働いていたんですけど、配属されたのがホール・接客の方で。でもその中でお客様との出会いがすごい楽しくて。それでそのあとも接客のお仕事をやらせていただいていました。


ーーー今現在はどのようなお仕事をされていますか?


齋藤:接客の話をしておきながら今は不動産をしています(笑)。

 経緯としては、実は関連会社で「オールスパイス」という会社がありまして、そこは飲食店を42年やっている地元の会社になります。そこに22歳のときにホールスタッフとして入社しました。最初は1店舗しかなかったんですが、2店舗目を開くときにマネージャーとしてオープンの立ち上げをやらせていただいたんですね。そこから店舗の立ち上げをいくつか携わっていく中で、立ち上げは大変なんですけど、楽しさがあったりいろんなことを学べて。

 ちょうど震災があって会社がどうなっていくのかなという時期に、20半ばくらいだったかな?30を前にして結婚とか出産とかも見据えてずっと飲食店の現場で働き続けられるのかなと考えたときもありました。将来をどういうふうに目指していくべきなのか考えていくうちに、なんか自分で新しいことを始めるのもいいなと。それと女性として今後も無理なく働き続けられる仕事で会社にもプラスになることをやりたいなーと思って「宅建」の資格取得にチャレンジしました。

 今不動産の仕事やってるんですけど、不動産といっても住まいを探すということだけでなくて、店舗を開業したいというお客様もたくさんいるんです。お店の立ち上げは、内装とかお店に入れる機材とか一人で考えるには大変なことが多くあります。なのでそういう方達のサポートを行っています。



ーーーなるほど。20代の時の新店舗立ち上げの経験が今の仕事に生かされているんですね。


齋藤:そうですね。わたし自身もオールスパイスで8店舗ほど立ち上げをしましたが、その中で失敗した店舗もあって。お店を立ち上げる大変さとか何が不安なのかとか立ち上げの段取りとか理解できたので、そういったところをお客様にアドバイスしたりなどサポートさせていただいています。


ーーーそれでは、今の仕事のやりがいはどんなところにありますか。


齋藤:物件をただ紹介するだけじゃなくて、お客様と深く関わることが多くて。どんな思いがあってお店を立ち上げたいとかこの場所を選んだ理由とかその背景を知ることが大事だと思っています。お客様のターニングポイントに立ちあっているので、その時のサポート次第でそのあとの人生がすごいよかったっていうふうに言ってもらえることがすごくやりがあります。時間が経ってみないと分からないこともありますが、そうあってほしいなと思ってやっています。


ーーーこれからの齋藤さんの将来のことも聞かせていただきたいです。


齋藤:そうですね。不動産ももともとはわたしが学生の頃にやろうと思っていた仕事ではないので、多分ずっと続けていくのかなっていったらそれはちょっと違うような気もしています。ただ、資格がある以上おばあちゃんになっても続けられる仕事なのでそんな仕事が一つあるっていうのは支えになっています。

 でも個人的にやってみたいことはすごくたくさんあって。今は長く飲食にも関わってきているので、自分で作った食材とかをレストランに提供したりとか、その中で農業とか一次産業に関わってみたいなとも思っています。


ーーーありがとうございます。先ほどお話の中で結婚や出産などの言葉も出てきましたが、女性としての仕事と家庭の両立についてなどお聞かせください。


齋藤:はい。わたしは子供はいないんですけど主人と姑さんと一緒に暮らしています。姑さんさんもずっと商売を支えてきた人なので、商売人の生活にすごく理解があって。それにわたしも甘えて、自分ができることをやるっていうスタイルでいいバランスで仕事ができていると思ってます。でも一番大事なのは家族との関係で、そこを崩すような働き方はしたくないと思っていて。家族が幸せじゃないならわたしも幸せになれないし、わたしも幸せじゃなければ家族も幸せになれないし。そこのバランスは崩さず保っていきたいなと思っています。


ーーー女性だからこそ仕事の中で弊害があったり大変だと感じたことはありますか。


齋藤:わたしは感じたことがなくて、それは幸い周りの環境がよかったのかなと思っています。うちの会社はダイバーシティやLGBT、ジェンダーを理解しようと努力していると思います。

 それこそ、その人自身いろんな考えを持って人生を歩んでいるうちに、どこかで心が折れてしまったりだとか会社で失敗して悩んだりトラウマになったりとかそういうものって誰にでもあると思うんですね。女性に限らず。それをダメな部分として見るのではなく、理解して、これからよくなるようにこの仕事を一緒にしていこうねってプラスになってやっていければいいなと思っています。この会社にいて女性が苦労するような会社であってはいけないとわたし自身思っているし、その辺は一緒に働く社員もそう思っていると思います。なのでうちの会社だと、女性もマネージャーになったり店長や管理職に就いたりすることは普通のことだし、子供ができても、それはみんなで育てるようなサポートをしたいなと思ってやってます。


ーーー逆に女性であることの仕事の中でのよかった点などはありますか。


齋藤:そうですね。お客様に、女性が不動産屋をやっているのは珍しいって言われたことがありました。ホームページを見て、なんか他の不動産屋とは違うんじゃないかって期待感を持ってきていただいたお客様はいらっしゃいます。

 あとは、女性のお客様で、お店を立ち上げるにあたって男性にいろいろ言われたりすると自分の考えをうまく言えなくなってしまうという方もいて。そういう方には女性としての悩みとか不安を共有したり励まし合いながら一緒に寄り添いながらやっています。わたしが女性だから選んでくれているのかなと感じる時もあります。


ーーーなるほど。やはり女性だからこそ仕事の中で力になれることもあるのですね。

齋藤さんの1週間のスケジュールはどのようになっているのですか。


齋藤:今は基本的に日曜日にお休みいただいていて、お客様次第で日曜日も働いていることもあります。ご紹介で来ていただくお客様が多いので、お客様次第で自分たちがタイミングを見て休むというようなスケジュールになっています。

 月曜日から金曜日までは、だいたい打ち合わせだったり、物件を見に行ったりそういった日中の過ごし方をしています。あとは、関連会社と共同のオフィスっていうのもあって、関連会社の新しい店舗の立ち上げの打ち合わせとか、そっちの仕事も一緒にやりながら不動産の仕事とバランス見てやっているという感じですね。


ーーーでは次に、学生のうちにしておくべきことなど、アドバイスがあれば教えていただきたいです。


齋藤:わたしは学生のうちに大人と関わるっていうことが少なかったなと感じています。やっぱり外に出てみるといろんな活躍している人と出会えていろんな価値観を知れるので、学生の未来を選べる時期に、いろんな人と会って話をする機会がもっとあれば何か変わっていたのかなとは思っています。もちろん今に後悔はないんですけどね。だからこそ学生のうちに外に出てみて、自分の活動範囲を広げることはとても大事なことだと感じています。


ーーーありがとうございます。

少し話は変わって、踏み込んだ話になってしまうのですが....(笑)。収入についてお話していただけるでしょうか。


齋藤:はい(笑)。わたしが22歳でこの会社に入るときに、面接の時に、目標月収で25万って言ったことがあって(笑)。でも信頼がないと給料は上げてもらえないでしょうから、信頼していただいたら、ぜひそのくらい上げてもらいたいですっていう話をして。そこからいろんな役職もやらせていただいたので、プラスにはなり...。

 今はどうかな...まだ36歳なんでね。今の一般企業で働く36歳と同じくらいだと思いますけどね。ある程度のマンションの購入で住宅ローンは組めるかな...というくらいの年収だと思います。まだ成長段階なので夢を持ちながら(笑)。


ーーーありがとうございます(笑)。

 次で最後の質問になります。人生振り返ってみて分岐点、ターニングポイントみたいなところあれば教えていただきたいです。


齋藤:わたしは自分で選んで変わったっていうターニングポイントは、まあ結婚くらいですかね。でも、自分でというよりは周りの影響で変わることが多くて。他者とか周りの環境に影響されて自分の価値観が変化してビジョンが変わることが定期的にあります。

わたしは自分のために頑張れるというよりは誰かのために頑張れるというタイプの人なんですよね。なので一緒にいたいと感じる人たちの力になりたいと思ったら、その時仕事が変わるのかもしれないし新しいことをしたいと思うのかもしれないし。誰かのために頑張りたいと思ったら、そこでターニングポイントになるような時期が来るのかなって思っていて。そういうふうにしていくのが、自分であーしたいこうしたいってやっていくよりもわたしのとっては幸せなのかなと思っています。それはもしかしたら女性特有なのかもしれないけど、誰かのためになったら一生懸命頑張れるっていうか夢中になれるような自分がいるのかなって思います。


ーーーありがとうございます。齋藤さんの誰かのために頑張るというやり方は、多くの人にも通ずるものがあると感じました。

本日は、わたしたち大学生にとって、ためになるお話をたくさんしていただけました。お忙しい中ありがとうございました。


2021.6.19

Interviewer:市岡大典、別處史明

Writer:別處史明






 

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